■岬のぐるぐるニッキ■ 落ち葉のコンチェルト
misakiのへっぽこな日常とか。

落ち葉のコンチェルト

「何やってんだ、オマエ……」

「見ればわかるであろう、落ち葉拾いだ」
薄く微笑んだままで彼女は手元を見下ろしている。
ふとその横顔を見れば、ひらりと赤い葉が一枚、そのスカートに舞い降りた。

++++++++++++

汗ばむぐらいに暑かった週末から一転、
北の国からの初雪のニュースが流れた、とあるウィークデーの昼下がり。


黒崎一護は本を小脇に抱え、あてどなく家の外へ出た。

「・・・・・・」

外を歩けば少しひんやりとした空気が頬に当たる。むしろ肌寒い。毛穴が引き締まりそうな心地さえする。

(冬も、もうすぐそこまで来てるんだな)

そう考えつつもフラリ、と近所の公園に立ち寄った。

昨夜の雨が染み込んだ、湿った土と草の匂い。

地面には柔らかい絨毯を敷き詰めたかのような、赤や黄色の葉が積もっている。

大きな木陰のベンチには誰もいない。まるでおいでおいで、と椅子が自分を誘っているかのようだ。

(よーし)

うんしょ、と腰を下ろせば思ったよりもベンチは低く、脚の長い彼は思わず後ろへずっこけそうになった。慌てて手を付いてバランスを取り戻し、片足を組んで座り直す。一応周囲を見渡してみたが、人の気配はないようだ。

みっともない場面を見られなくてよかった、と見栄っ張りな男子高校生はふう、と胸をなで下ろすのだった。

++++++++++++

一護の手の中の本には黄緑色のブックカバーが掛かっている。
余り男らしくないかな? と自分でもわかってはいるが妹が誕生日のプレゼントに作ってくれた手製の物なので使わないわけにもいかない。こういうものは学校には持ってはいかない。クラスメートに見られて何を言われるのかも面倒な話だから。

開いたのは行きつけの本屋の新刊コーナーに平積みにされていた、現在ベストセラー入りの文庫本だったのだが。

(むむむ、なんだよコレ・・・)

映画の原作にもなり、人々に感動の嵐を巻き起こしている、という触れ込みにしてはーー文章がスカスカだと思う。

これならまるっと30分で読めてしまいそうだ、と一護は少し損をした気分になった。

(少しは立ち読みしてから選ぶべきだったかな)

はあ、と小さくため息をつき、ふと頭上を見上げればーー。

赤い木の葉がひらひら、と舞い降りてきた。

(お?)

ひらひらひら。

タイミング良く、彼の横の開いた場所に葉が落ちてきた。

「可愛らしいお客さん、だな」

思わず口元を緩め、小さな声でつぶやいていると。



「……何がカワイラシイお客さんだ、気色悪い男め」

「げっ!」

ふと顔を上げれば、

黄色のカーディガン、チェックの愛らしいワンピース姿のーー。

三つ編み姿の、ぱっと見は可憐な乙女が一人。

腕を組み仁王立ちで木の傍にたたずんでいた。





「げっ、とはご挨拶だな……」





「ル、ルルルルキア、いつからそこに?」

思わず声の主を指差せば、彼女は思いっきり不機嫌そうな顔つきで睨み上げてきた。

「人を指差すのは止さぬか。……貴様がその長椅子ごと後ろにひっくり返りそうになった頃からだ」

「ーーーーみみ、見てたのかよ!!」

「まだ私の気配に気づけぬとは、相変わらずの未熟者だ」

「~~~そういうテメーこそ、気配を隠してたんだろーがっ!」

「まあそう言うな。……ここの空間は気持ちがいいな」

「あ? ……まあな」

空を気持ち良さそうに見上げる姿に、一護はそれ以上反論するのは控えた。

+++++++++++++++

さわさわさわ。

木々を揺らす風。落ち葉が舞い降りてくる。

もう一枚、ひらりひらりと、一護の横にお客さんがやって来たようだ。

「お前は……ずいぶん落ち葉に気に入られておるようだな、一護」

唇尖らせて顎をしゃくる相手に彼は目を点にさせ、思わず眉間にシワを寄せていた。

「はぁ? 妙なところで悔しがるなよ。葉っぱに好かれても何の得にもなんねーだろ」

「ふふ、損得の問題ではないがな」

ルキアはひらり、とステップを踏んだ。膝下まであるワンピースが羽のように揺れる。



「私もお客さんとやらを迎え入れることにしよう」




そう言うと、彼女は裾を軽く摘んで広げてみせた。

<おしまい>

★唐突ですがイチルキでした! すぺしゃるさんくす;U月様
未分類 | コメント(0) | 2009/11/02(Mon) 15:52:21

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